お知らせ
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山にあるもので土を元気に!里山再生ワークショップ③
ここからは
里山に元気を取り戻してもらうために
山にあるものをどんどん活用していきます!
例えば、山で切った竹、
剪定した枝や丸太、稲藁、落ち葉、
掘ったら出てくる土、石。
里山にある材料を使って
◾️水が土の奥に浸み込みやすい場所を作る
◾️土が呼吸できるポイントを設ける
これをやっていきます。
穴を掘って、石を積む。水の道をひらく
まずは山の斜面に穴を掘ります。
掘っていくうちに
固いところ(関東ローム)が出てきたら
そこには丸太杭や焼き杭を打ち込んでいきます。
樹皮がついたままの丸太や
焼いて表面が凸凹になった木杭は
土中環境改良にもってこいの資材ですよ。
表面の凸凹を伝わせて
雨水を地中深くに浸み込ませることができるんです。
杭を打つことで、水の通りがよくなり
土の質も徐々に変わっていきます。
固いところに杭を打ったら
穴の中には、竹炭や籾殻くん炭、石や瓦礫、
そして落ち葉や藁などの有機物を
ミルフィーユのように重ねて詰め込んでいきます。
こうしておくと、掘った穴の側面などから
土中で滞った水や空気が浸み出し
山に流れが生まれてくるのです。
もし、土が崩れているところがあれば
ラッキーだと思って、そこを掘るのもいい手です。
自然が谷堀を掘ってくれた、ということですから。
掘りだした土は土のうに詰めて、また他の作業に使っていきます。
山が水を飲む場所も作ってあげましょう
土が固いまま、かつ斜面になっているところでは
雨が降っても
雨水は山肌を流れ落ちていってしまいます。
そこで丸太杭や剪定枝、石や土のうを使って
段々畑のような感じの
平らなスペースを作っていきます。
段々の平たい面には
竹炭や籾殻くん炭、石や瓦礫、土のう、
そして落ち葉や藁などの有機物をたっぷり敷いて
そこで雨水をゆっくり受け止め
土に浸み込みやすくしてあげるという仕組みです。
石には、目に見えない細かいヒビが無数に入っていて
これを伝って水が導かれます。
そして、周りに詰めた落ち葉や藁、炭、石のヒビの中には
様々な微生物が住み着いて周辺の有機物の分解を進め、
土中に養分を与えてくれるようになります。
人が歩く道を作るのも大事
里山というのは斜面地が多いですから
人が斜面を歩き続けていると
ぬかるんだところに泥の膜ができて
どんどん表面が固くなってしまいます。
(これを踏圧といいます)
斜めの面ではなく、平らな場所を踏むだけなら
それほど地面に力はかからないのですが…
そこで、人が歩きやすく
かつ土中に水と空気を通せる段々、
つまり階段を作っていくのも
土中環境の改善に役立つのです。
やり方は先ほどの段々を作るのと同じで、
山にあるものを加工して使います。
人間がよく踏むであろうスポットは
凹んでしまわないように
石や瓦礫(瓦や小石)をしっかり詰めて。
段々の境目には
流れ落ちる水が浸み込むための
溝もしっかり刻み込んでおきます。
溝には、炭、藁、落ち葉をたっぷりと詰め込んで。
皆さんは、山や川にハイキングに行ったときに
石や丸太でできた古道や階段を
歩いたことがあるでしょう。
上手に作ってあるものなら
階段やその周りには、山が水を飲めるように
実はいろんな工夫が込められていたのかもしれませんよ。
これからは、古道を見る目が変わりそうです。
人の手でできること。シンプルな道具と共に
今回の作業をするのに使ったのは
私たち人の手、剣先スコップ、片手鍬(イカ型レーキ)、
ハンマー、手ノコ…そんな道具たちでした。
もしも重たい重機を山にいれたなら
土は踏み締められて、余計固まってしまいますよね。
人が運べる程度の道具や材料だけでも
こんなにいろいろ出来るんです。
作業のコツや上手な収め方などは
ワークショップで高田先生たちの作業を拝見したり
実際に自分で手を動かしてみることで
掴めたことがたくさんありました。
中には、お庭作りやお手入れにも役立てられる
素敵な知恵がいっぱいあったのです。
最近は、こうした里山や森林の再生・保全活動を
行っているところが少しずつ増えています。
お庭よりもちょっとスケールは大きくなりますが、
里山もお庭も大きな自然の一部と考えて
機会があれば参加してみてはいかがでしょうか。
めぐりを取り戻しつつある山に触れて
こちらもパワーをもらえる感じがしますから。
山や森はなぜ荒れてしまうの?里山再生ワークショップ②
今回のワークショップは
地元のとある里山の一角で開催されました。
昔から受け継がれてきた田んぼや畑、
民間所有の森や里山の維持というのは
昨今の高齢化や後継者不足により
なかなかその管理に
手が回っていないところが増えており、
こちらもそうしたエリアの一つでした。
山はどうして荒れてしまうの?
ここはかつて、様々な種類の落葉樹や常緑樹、
下草が豊かに育っていた里山でした。
しかしある時期から、竹や笹ばかりが繁茂し
植物たちの病気や病害虫が増えてきたのです。
そこで高田先生が
現地を歩いて調べてくださったところ、
昔は谷だった部分、低くなっていた部分を
人が埋めて使うようになった場所が
あったのがわかりました。
本来であれば
山の上に雨が降ると、水は土中に吸い込まれ
森の植物たちがまたそれを吸い上げて育ちます。
使われなかった分の水は、谷筋などに湧き出して
また他の場所に動いていきます。
しかしその湧き出す部分を埋めてしまったことから
水の行き場がなくなり、土がジメジメになって
土の中の酸素も減ってしまっていたのです。
すると、今までの環境で元気に育っていた樹々が弱り
一方で、その環境でも耐えられる竹や笹だけが
生き残りやすい状況になった、というわけです。
これは、竹や笹が悪いというわけではなく
彼らは環境に正直に反応しているだけで
人が谷を埋めて水の流れを止めた結果
条件に合う子たちが出てきただけなのです。
むしろ、今の山の状態を
私たちに知らせてくれているのかもしれませんね。
こういう仕組みがわかると
これからいろんな植物が生い茂った場所を見れば
どんな植物が元気にしているかで
そこの土中の様子を想像できそうですよ。
竹と笹ばかりになるとどうなる?
イネ科の植物である竹や笹は、
地下茎を横方向に伸ばしていく植物で
土の表層に近いところで根を張り
そこで水分や養分を吸って育ちます。
竹以外の落葉樹たちが少なくなれば
落ち葉からできる腐植物も減りますので
土の表面はカチカチに固くなります。
こうなると
雨が降っても土の中まで水が浸み込まず
山肌を雨水が流れ落ちてしまいます。
それは付近の水の始末がつかない原因にもなり
さらには、本来この水が届いていたはずの
樹々や土もどんどん乾いていってしまうのです。
水と空気の道「通気浸透水脈」のチカラ
それに、土中の水の通り道は、
空気を通す道にもなっています。
例えば、夏に谷筋に行くと
風がひんやりして気持ちいいですよね。
これは、谷筋では湧き水などと共に
土中の涼しい空気が土から流れ出ているからなんですよ。
土中の空気の流れが滞れば
本来は好気性菌や嫌気性菌がバランスよく働いて
落ち葉や動植物、虫の死骸などを分解して
土の養分に変えてくれていたのが
それも上手くいかなくなります。
どうでしょう、これはまるで
私たち人間の体で血や水の巡りが悪くなると
あちこちが病気になるのと似ていませんか?
めぐりをよくするには、どうしたらいい?
ではここまで里山をじっくり観察して
山や土の中で何が起こっているかわかってきたら
いよいよ里山の循環をとりもどす作業を始めましょう。
失われてしまった土の中の「水の道、空気の道」を
山にあるものを使って、再生させていきますよ!
次回に続きます!
土の呼吸を取り戻す。里山再生ワークショップに参加①
ここのところ横浜近隣でも
時折、お庭の土の表面がうっすらと
盛り上がっているのを見かけます。
あちこちで霜柱ができているんですね。
足元の土から感じられるもの
さて先日は、地元で開催された
土中環境と里山再生のワークショップに
スタッフ複数名で参加してきました。
日々お庭や畑に携わっている私たちにとっても
土の中の見えない部分、
植物の根っこや虫、微生物たちのいとなみ、
そして水や空気がめぐる仕組みを学んでゆくのは
とても大切なことだと思っています。
お庭の仕事から見えてきた変化
昨今、人が手入れをしなくなった
里山や森が荒れている…とよく言われますね。
国土の7割が森林である日本では、
人々は自分たちの周りにある
自然の成り立ちや循環をよく「観察」していて
その中で上手く共存する技を受け継いできました。
しかしそうした技術や智慧が
徐々に失われつつあるのを
私たちお庭屋さんの最近のお仕事の中でも
切に感じる出来事がありました。
というのは昨年、
いつもお庭に使わせていただいている
黒土の仕入れ先の方からお話しがあり、
様々なご事情から
もう土づくりを続けられないと、
そのお仕事をたたまれるというのです。
それも1社のみでなく
複数社でそのようなお話しが出ており、
今まで当たり前に身近にあったものや技術が
目の前で次々に消えてゆく現実に
私たちも強い危機感を持ちました。
そんな中、先人の知恵を伝え継いで
土中環境の健全化や
水と空気と有機物の循環を大切にする
「有機土木」を実践・指導なさっている
高田宏臣さんのワークショップに
ご縁をいただいたのでした。
高田さんの、自然を観る「目」
6回にわたるワークショップの開始前、
高田さんは現場の里山の中を歩き回り
植生や土の様子などをじっくり観察されました。
そして、地元の方々からも
この場所が元々はどんな地形だったのか、
人々がここに暮らす中でどんなふうに手が入り
どう使われてきたのかなどを聞き取って、
その森では何が起きているのか、
目に見えない土の中が今どのような状態なのかを
観てとられていました。
この「見立て」「見抜く目」
観察する力の鋭さ、素晴らしさにまず驚かされます。
そして植物たちの様子から
土の中の水や空気の流れの滞りがある場所を見つけて
そこに手を入れ
循環を取り戻すお手伝いをしていくのです。
土の中には、水や空気の通り道がある
普段、私たちがお庭を眺めるときには
土から上の世界を見ている訳ですが、
土の中に伸びている植物たちの根っこは
地中の水を吸い上げ、呼吸もしています。
細い根っこの先には
いろんな微生物たちが
毛細血管のようにつながっていって、
実はずっと遠くの他の微生物たちや植物たちと
栄養や水の交換をするだけでなく、
いろんなおしゃべり(情報交換)もしているんだと
アメリカの大学の研究で
明らかになってきているそうです。
私たちがお手入れするお庭の木々たちも
実は土の中で、どこか他のお庭や遠くの森の木と
水や栄養、いろんなものを交換しあい
こっそりつながっているんだと思うと
何だか面白いですよね。
もしかしたら
お庭の小さな霜柱だって
どこか遠くの水たちとつながっているかも。
自然は本当に奥深いのです。
では次回、実際のワークショップのお話を
お伝えしていきます。
藁の仔馬さんから、新年のご挨拶です。
年末の藁ぼっち・門松づくりで余った藁から生まれた
首をふりふり元気な仔馬さんです。
スタッフのSさんが作ってくれました。可愛いでしょう?
今年の干支にちなみ
健やかな始まりへの願いを込めました。
私たちは
冬の風物詩である藁ぼっちや、新年の門松飾りなど
季節とともにある庭仕事を大切にしてきた
昔ながらのお庭屋さんです。
一方で、真剣に、そして楽しみつつ
新しいものや知恵にも目を向けて
日々周囲の風を嗅いでいます。
これからもお客様がふっと心をゆるめ
憩えるお庭をお届けしていきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
一木の美、里山の風景——剪定スタイルのお話
そろそろ12月も中旬なのですが
当社近くの街路樹やお庭の木々の枝先では
黄色や茶色の葉っぱたちが
まだまだ落ちずに頑張っているのが見られます。
やはり年々、落葉の時期が遅くなってきていますね。
大風が吹く日には、青空をふわふわと舞い踊り
なかなか地面に落ちてきません。
まるで、あの夏の暑さを乗り切った葉っぱたちが
最後に思いっきり、空で遊んでいるかのようです。
さて今回は、植木の剪定の形や
様々なお庭の仕立て方について
少しお話ししてみたいと思います。
植木の剪定にはいろいろなスタイルがあります。
例えば、1本1本を単木作りで剪定し
それぞれを名木として、立派なカタチに整えるお庭。
あるいは、空間全体を森や里山の風景として捉え
他の木々たちと馴染ませるように剪定していくお庭。
同じ樹種だとしても、お手入れの仕方は変わります。
ですので、私たちが
お庭の手入れに入らせていただく際には
お客様がそのお庭において
何を大切になさりたいか、どんなお庭にしたいのか、
お話を伺ってから進めるようにしております。
もちろん、1本を格好よく仕立てる為にも
庭師の技術とセンスを磨き続けなければなりません。
一方で、里山のように馴染ませて仕立てる場合は特に
お庭の植木たちそれぞれの性格や
強さ弱さをよく見極めて
お手入れを続けていくことも重要なポイントになるのです。
一つのお庭の中には
強い植物と静かな植物が共存しています。
ですから、育っていくうちにどうしても
優劣がでるものです。
強い子がワアっと伸びてぐんぐん育つ傍ら、
静かな子がじっと我慢して我慢して
そのうちちょっと具合が悪くなってしまっていると
かわいそうですから、
その時は、強い子を多少切らせてもらう…
我慢してる子には、少しゆとりを持たせてあげる…
そんなふうに調整したお手入れをかけています。
樹の種類による そもそもの生命力の違いもあれば
植えられた場所に合う合わないで、加減も変わります。
お庭屋さんとしては
植木たちがどんなふうに育っているか
いつも気にしながら、時には植木に話しかけながら
作業をしております。
お客様からお伺いする、その年の植木たちの様子も
とても参考になります。
いろんな木々やお花がバランスよく共存して
心休まるお庭にできたら、私たちも何よりですから。
お庭の木が「ちょっと疲れてるかも?」と感じたら
いつでもお声がけください。
ご一緒に、お庭の子たちの声に
耳を澄ませていけたらと思います。
画像:公園の銀杏が見事でした。
年末年始休業のお知らせ
平素より弊社をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
年末年始の休業期間について、以下の通りご案内申し上げます。
【年末年始休業期間】
2025年12月31日(水)~2026年1月7日(水)
新年は2026年1月8日(木)より営業を開始いたします。
休業期間中にいただきましたお問い合わせにつきましては
営業再開後、順次対応させていただきます。
本年も多くのお客様に支えられたこと、心より感謝申し上げます。
来年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
画像:先代社長の育てた柿です!
トゲのある木、やさしいお庭 ─ 防犯と暮らしの知恵
今年は夏が長く、急に涼しくなったと思ったら
もう12月がすぐそこです。
年末が近づくと「防犯」の話題が増えてきますね。
今回は、庭木と防犯の関係について
スタッフみんなで、現場での体験を交えながら
話をしてみました。
塀の向こうの「不安」から生まれるご相談
あるお客様のお宅で、最近塀の外にあやしい車が
横付けされ、中を覗き込む男性がいたそうです。
「なんだか物騒だから
塀際にトゲのある植物を植えてほしい」とのご要望が。
お庭でトゲといえば思い浮かぶのは
バラなどでしょうか。
「塀側にバラを植えて誘引し
侵入防止になる植栽にしてほしい」と仰います。
ただ、お庭をお手入れする立場からみると
トゲものはちょっと悩ましい存在です。
お客さまの不安に寄り添いたい気持ちと
実際にお世話する現場の安全との間で
どう折り合いをつけるかいつも課題になります。
トゲもの、痛みの記憶
トゲといえば、思い出話もいろいろです。
スタッフ全員が
アザミのトゲにやられたこともあれば
足袋を貫通するほど
カラタチのトゲを踏み抜いたことも。
一瞬の油断で、鋭い痛みが走る…。
作業現場では笑い話にもなりますが
実際は危険と隣り合わせです。
最近はトゲが危ないという理由で
昔ながらのカラタチを植える家も
少なくなりました。
代わりに、葉先が鋭いユッカランなどを
フェンス側に植えて
防犯に役立てているお宅も見かけます。
トゲのある植物とお客様の物語
ところで、トゲものといっても
防犯だけを目的に
植えられているわけでもありません。
例えば、農家さんのお庭では
サンショウやタラノキなど
季節の味覚を楽しめる木がよく見られます。
また、サルトリイバラ(サンキライ)は
地方によってはお団子を包む葉として使われ
冬には赤い実をリースに飾るなど
昔から暮らしの中で親しまれてきました。
またあるお宅ではウコギが育っていて
「珍しいですね」とお声かけしたら
「植えた覚えがないんです」とのこと。
実生で芽吹いたのでしょうか。
てっきりお客様がお好きで植えて
新芽を天ぷらにして楽しまれているのかと
早とちりして笑った思い出もあります。
こんなふうに、痛いトゲのある植物も
私たちの暮らしの中
様々な形で愛されてきたのでしょう。
お庭屋がトゲと格闘する季節
冬を前に、ユズやレモンの摘果作業が始まります。
これも私たちの仕事のひとつ。
お客様がケガをせず
お庭で実った恵みを楽しめるよう
私たちお庭屋がトゲと格闘しながら実を収穫し
枝を整えるのです。
防犯対策は「トゲ」だけではない
昔、防犯目的でピラカンサを植えてほしいという
ご要望がありました。
ですが、先代社長は
「手入れする身にもなってほしい」と
あえてトゲのない樹種を提案して
お庭を完成させたそうです。
植物で防犯できるのも悪くないのですが
お庭でよろけたり転んだりしたときや
お子さん、ペットが遊ぶときに
ケガのもとになることもあるのです。
そもそも、鉄条網は伸びませんが
植物は伸びます。
防犯のために植えた木も
育てば剪定が必要になります。
だからこそ私たちは
「植物のトゲ」に頼るよりも
侵入経路になりそうな場所を「死角にしない」
お庭づくりの方をおすすめしています。
通行人やご近所から、ほどよく「見える」外構の方が
防犯効果は長続きします。
それに、ちょくちょく植物のお世話をしに
お庭や玄関先に出ているのだって、案外と
ご自宅やご近所を守る効果があるのではないでしょうか。
「庭木と防犯」。
できれば、その植物のトゲ以外の魅力も愛でながら
家族の季節を告げる存在として
お庭で楽しんでいただけたらーー
そんなふうに、願っています。
花壇の土の中に…? コガネムシの幼虫にご用心
今年は9月になっても暑い日が多かったですが
ようやく秋らしい陽気になってきましたね。
夏のお花も、そろそろ終わり。
秋雨の合間、気持ちよく晴れた日には
来たる季節に向けて
お家の花壇やプランターの植え替えを
なさるという方もいらっしゃるでしょう。
花壇を掘り返したり
プランターをひっくり返したりして
土をほぐしている時に
何やらゴロゴロと白い物が出て来ることがあります。
そう、コガネムシの幼虫が
何匹も見つかることがあるんです…。
コガネムシって、どんな虫?
コガネムシの幼虫は、白っぽく太いイモムシで
地中ではCの字状に丸まっていることが多く
掘り出して地面に置くと
腹ばいになってさっさと歩いて逃げます。
7月から9月が産卵時期で
孵化した幼虫は土の中で越冬します。
最近は暑い期間が延び、産卵適期も長くなったのか
その数が増えているような気がします。
幼虫は土の中でひっそりと
植物の根っこをモリモリ食べています。
地中の様子は見えませんから
根の食害にはなかなか気づけないのが困りものです。
ある日突然
植物の元気がなくなってきたり、
プランターの植木に水をやっても
なんだか吸い上げている感じがしなかったり、
あるいは株を持って揺すると
妙にぐらぐらする時などは
植物の根っこの被害を疑ってみましょう。
一方、成虫は緑色のコロンとした虫で
バラや広葉樹の葉っぱを食べます。
夏場に、葉っぱに虫食いの多い樹を揺すると
緑色の成虫がボタボタ落ちてきますので
多すぎる時は捕殺しておきましょう。
コガネムシと似たイモムシの話
土中の白っぽいイモムシで
ハナムグリという虫の幼虫がいます。
彼らは、元気な植物の根っこは食べずに
落ち葉や朽ち木などを食べて
土壌を良くしてくれる益虫の一種です。
見た目はそっくりなのですが
コガネムシと違って腹ばいではなく
ひっくり返って背中で歩くのが特徴。
見つけたらそのままお庭に戻して
土壌改良を頑張ってもらいましょう。
それから、コガネムシの幼虫を
カブトムシやクワガタムシの幼虫と
間違える方もいらっしゃるようです。
カブトやクワガタの幼虫も、ハナムグリと同じで
生きた植物の根っこは食べず
腐葉土や朽木を食べています。
夏の間、自宅のお庭には
カブトやクワガタの成虫がいないのに
腹ばいで歩く白いイモムシが土から出てきたら
残念ながらコガネムシの幼虫の可能性が高そうです。
植え替えシーズンには
土から幼虫が出てきたら
根っこの中にも虫が隠れていることがあるので
根の周りの土をそっとほぐしながら
1匹ずつ取り除きます。
殺虫剤を使うかどうかは
ご家庭やお庭の環境により
ご検討いただくことになりますが
土を掘った時に、物理的に捕殺しておくのも
植物たちの根っこを守るよい方法です。
虫にも虫の事情があって生きていますし
彼らの営みも自然の循環の一つでしょうから
なんでも駆除すれば良いとは思いませんが、
その場所であまりに何かが増えすぎてしまうと
それはそれでバランスがよろしくない気がします。
そして植木たちは
根っこを齧られ続けても痛いと言えず
逃げもできずにそこに居ますので
ちょっとは助けてあげたいなと思うのです。
ちなみに、自然のサイクルの観点からいくと
お庭にくる鳥さんたちが
コガネムシの幼虫を食べていきます。
ムクドリ、シジュウカラ、ハクセキレイ、ウグイス、
季節によってスズメなどですね。
幼虫はプラスチック面を登れません。
植木鉢の下に敷く、プラ製の鉢皿などに載せて
鳥が空から見つけやすい場所や庭の隅っこに
数匹置いておくと、いつのまにか食べていってくれます。
(カップよりもお皿だと、鳥が見つけやすいみたいです)
せっかく育てている植木やお花が
急に弱ったり枯れたりするとびっくりしますよね。
そんな時、病気ではなく虫の影響も考えてみては。
なお、根っこを齧る虫の対策としては
周りに雑草を少し残しておくと
そっちの根っこを食べてくれる場合もあります。
ご自身のお庭に馴染むやり方を
楽しみながら見つけていただければと思っています。
家族と共に育ちゆく庭
先般、20年以上にわたり
お庭のお手入れをさせていただいているお宅で
大掛かりなお庭のリフォームをいたしました。
新築当時は、お子様方がまだ小さくて
お庭で遊ばれることもありましたが
今はもうすっかり成長されました。
そしてお施主様も定年退職されて
ご家族とお庭との関わりも少しずつ変わってきました。
そこで今回は
日々のお手入れが楽になる方向で
一部の植木の入れ替えをしたり、
季節になると果実を楽しめる植物をいれたりと、
「この家で、これから過ごす時間を、どうしたいか?」
この点をご家族と相談しながら
ご希望に沿った新しいお庭を考えたのです。
家族と共に、お庭も育っていいんです
私たちは、個人のお家のお庭は
作りっぱなしではなく
そこに住まうご家族と共に
お庭も成長してよいのではないかと考えております。
もちろんお気に入りのお庭を
ずっと維持できるのも幸せなことですし
それがご自身の生きがいや運動になって
健康維持に役立っている方もいらっしゃいます。
一方で、年を経るごとにお庭の手入れが大変になり
その家に住み続けること自体を難しく感じる方も
いらっしゃるかと思います。
そんなことが気になり始めた時、
これからの人生、我が家でどう過ごしたいか、
どんなお庭だったらよりよい時間が過ごせるか、
立ち止まって考えてみるのもよいかなと思うのです。
家族のお庭ストーリー
もし小さいお子さんがいらっしゃるなら
芝生でゴロゴロできるといいかもしれません。
小さなお花を摘んだり、庭に来る小鳥や虫たちを見たり、
その年齢ならではの楽しみ方があるでしょう。
家族の形は様々です。
例えば、外遊びが好きな動物を飼っている方は
彼らが安全に遊べるお庭にしてもよいかもしれません。
そして子供がだんだん大きくなって
庭で遊ばなくなったら
転んでも痛くない芝生のお庭でなくても
いいかもしれません。
草取りが楽なレンガ敷きのお庭にしたっていいし
お庭の一角に畑を作ったっていいのです。
いずれ子供が巣立った後に
家でゆっくりする時間ができたなら
ここで一度、お庭とのこれからの付き合い方を
考えてみるのもいいですね。
年を取ってから、あまり手のかかる庭だと
時にその家で暮らしにくくなることがあります。
そこで、手間暇はそれほどかけずに
楽しめるお庭に作り替えておけば
住み慣れた自宅で
長く暮らせるように準備ができます。
お庭は、暮らしの中でいちばん身近な自然です。
これからの毎日をどう楽しむか…
お庭がその答えを映してくれるのかもしれません。
戦争と花壇
お花好きのある奥様から、こんなお話を伺いました。
「私が学生の頃、園芸部で
校内に花壇を作ろうとすると
地面を掘れば瓦礫ばかりで
とてもすぐに
お花を植えられるような状況じゃなかったわ」
それが何を意味するのか、すぐには想像できず
私がその状況を思い浮かべるには
ほんの一呼吸、考える時間が必要でした。
奥様の通っていた学校は東京都港区にあり
1945年5月25日の山の手大空襲で
地域一帯が焼き払われた場所にありました。
その方が学校に通われていたのは
戦争が終わって10年ほど経った頃でしたが
それでもまだ、校庭のあちこちに
空襲の瓦礫が埋まったままだったそうです。
「花壇作りは名目で、あれは校庭内の片付け作業
だったのかもしれないわね」
今、私たちがこの近隣でお庭をやろうとするとき
掘ったら瓦礫ばかりということはほとんどありません。
しかし今も、日本国内でも自然災害により
瓦礫の片付けが続いている地域がありますし、
他国では今この瞬間にも戦争が繰り返され
瓦礫の降る中を逃げ続けている方々がいます。
戦後80年の今年、
土を掘り、木を植える、花を育てる…、
そんな穏やかな日々を送れることの尊さを思う、
終戦の日です。
- TEL:045-981-3667
- 【受付時間】9:00~18:00(平日)
FAX:045-984-8500



