お知らせ
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たねダンゴ®を作って、お花の種を植えてみよう!
横浜市の ”鳩の森愛の詩瀬谷保育園”さんで
今度は「たねダンゴ作り」に挑戦してきました!
皆さんは、たねダンゴというものをご存じでしょうか?
これは、2011年の東関東大震災の影響を受け
荒廃してしまった土地に緑を戻そうと
「日本園芸普及協会」の方々が立ち上がり
土のお団子に花の種を混ぜて蒔いた方が
発芽率が高く、早く緑が取り戻せると
考案してくださったものです。
現在では、日本各地で
たねダンゴを作ってお花を植えるイベントが
開催されるようになり、
気軽に楽しめるミックス土なども
園芸屋さんで売られていますので
機会があれば探してみてくださいね。
まずは、黒っぽくて粘性のある「けと土」と
よく観葉植物の鉢でみかける「赤玉土」を混ぜて
まあるい土のお団子を作っていきます。
みんなでワイワイおしゃべりしながら
お団子を丸める作業も楽しいものですよ。
まるめたお団子をトレイに並べていくと
何だか、あんころ餅みたいに見えます。
こどもたちが小さい手でつくるお団子は
何となく小ぶりで可愛いサイズ。
お庭屋さんの私の大きな手でつくるお団子は
ちょっと大きめな仕上がりに。
次に、お団子の真ん中に穴を開け
ゆっくり溶けるタイプの肥料と
根腐れを防ぐ効果のある「ケイ酸塩白土」を
ひとつまみ入れて、また丸め直します。
何だか、おにぎりの具を入れるみたいな感じですね!
最後に、ダンゴの周りにお花の種をくっつけて
更には、白い粉砂糖状の「ケイ酸塩白土」を
全体にまぶしたら完成です。
ケイ酸塩白土は、秋田県の八沢木地域で採れる天然の鉱物で
植物が育つのをいろいろと助けてくれるんですよ。
花壇に植え付ける際は、一つずつダンゴを配置して
上からそっと、手で土を被せていきます。
深く埋めすぎると発芽が遅くなるので
かるく被せる程度にするのもポイントです。
4月から6月ごろに行う「春まき」のたねダンゴは
7月から10月中旬にかけてお花を咲かせてくれます。
来週、再来週くらいには発芽して
コスモス、ジニア、クレメオ、千日紅、葉鶏頭などが
順々に咲いてくれますので、今から楽しみですね。
今回は、20組位のご家族が参加され
たねダンゴ作りをやってくれました。
作ったダンゴは、一部は園庭内に植えて
残りは皆さんにお持ち帰り頂きました。
こどもたちが、花壇の新芽に気づいた時には
果たしてどんな顔をするんでしょうか。
植木と虫の関係性。我々庭師はバランサー。
私たち庭師は、樹の剪定をしたり
新しく樹を植えたりもするのですが
時に、樹の命の終わりを看とることもあります。
大風で倒れる、ひどく虫がつく、
あるいは重い病気になってしまう等、
様々なケースがあります。
もし病気にかかっている樹があれば
彼らが弱ってしまった原因を探ります。
そして、生きる力を取り戻せるような方法、
私たち庭師に出来る手助けはないかと考えます。
オーナー様にとっては大切な植木ですから、
お庭の虫たちが元気になりすぎているようなら
薬を使って駆除することもありますが、
虫を排除するばかりがよいとも言えないので
生き物たちのバランスをどうとるか、思案するのです。
虫やバクテリアは
生きる力が弱っている樹につきます。
もしも、その樹がもうすっかり弱っていて
土に還りたがっているとすれば、どうでしょうか。
虫たちやバクテリアが、労力をかけて樹を分解し
土に還るのを手伝ってくれているとするならば、
樹にとって、その営みは
悪いことではないのかもしれません。
ある本で、そんな考え方を読んでから
弱った樹の最期を看取る時の心持ちが少し変わりました。
可哀想なばかりでもない、これも自然のバランスで
めぐる輪の一つかも…と。
植物というのは面白いもので
そこの土や環境が合えば、放っておいても
のびのびすくすくと元気に育ちます。
植木たちが長く元気でいてくれたり
たくさん花を咲かせてくれたりするのを見ると
こちらも嬉しくなって
「成る程、君たちはこの場所が気に入っているんだね」と
心の中で声をかけてしまいます。
人間が手を入れすぎた庭は
生物たちの生きる力が弱くなってしまうので、
やはりこの辺りも塩梅が肝心なのかもしれませんね。
お庭の様々な生き物たちの
声なき声を聴きながら、今日もお仕事をしています。
保育園ワークショップ ミカンの植樹と花壇作り
先日、横浜市の ”鳩の森愛の詩瀬谷保育園”さんで
約4年ぶりの親子ワークショップが開催され
私たちもそのお手伝いに行ってきました。
この日は快晴!
ワークショップ会場の屋上庭園からは
見事な富士山も見えて、最高のお天気です。
こちらの保育園では
「共育て共育ち」の理念のもとで
こどもたちを中心に
職員の方々や親御さんたちが一緒になって
様々な活動をなさっています。
今回は、屋上庭園にミカンを植樹し
その周りにみんなで花壇を作っていきました。
ミカンはお水を好む樹なので、
8月の収穫期の少し前まで
たくさんお水をやって育てます。
力持ちのお父さんたちが汗をかきつつ穴を掘り
樹の姿が格好よく見える向きをみんなで考えて
若いミカンの樹をしっかりと植えつけました。
屋上なので、日当たりは抜群です。
いよいよその後は、こどもたちが
お花の苗を植えて、花壇を作る番です。
まずは弊社スタッフが植え方を説明します。
「どんなふうに植えたら元気な根っこが伸びるかな?」
ボードに絵をかきながら説明するのを
親御さんたちもこどもたちも
真剣な顔で聞いてくれていました。
花壇作りが始まると…
元気なミミズを見つけて大喜びな子。
「土を掘ったら、中が冷たい!」と言って
手にふれるものの感触を楽しんでいる子。
スタートダッシュでどんどん植える子もいれば
スロースタートでじわじわ始める子もいます。
弊社スタッフが
「背の高い苗を奥に、背の低い苗は手前に植えると
素敵な花壇になりますよー」と声をかけると
親御さんと一緒に
花の苗をじっと見比べて考えている子。
重たいジョウロを一生懸命運んで
お水やりを頑張る子もいれば、
花壇の周りの遊歩道を作るための木端を
どんどん運んでくれる子、
花壇の周りの芝生の植え付けまで
粘り強く取り組んでいる子もいました。
この保育園のみなさんは
こどもたちに一斉に同じことをさせるというよりも
ひとりひとりが興味を持ったことに
自分のペースで取り組んでくれることを
とても大切にされていて、
みんなの集中力や楽しそうな様子を見ていても
それがよく伝わってくるひとときでした。
こどもたちが、いつかの未来に
この樹と花をみんなで植えたことを
あたたかい気持ちで思い出してくれたらいいですね。
立木の補強や藤棚作りに。しゅろ縄、麻縄、ビニールの縄
最近は随分と風の強い日が多いですね。
人間と違って移動ができない樹木たちは
雨の日も風の日も
生まれたその場所でじっと耐え忍んでいます。
さて、台風や嵐の日でなくとも
街中には、地形や周辺建物の影響で
常に風が吹き続けているような場所があります。
そうした所では
樹木全体が風の向きに沿って
まるで曲がった箒のように変形していたり、
地面から根っこが浮き上がって
少しずつ幹が傾いていたりするので、
職業柄、街や公園を歩いていると
ついそんな木の様子を観察してしまいます。
ああ、ここはいつも風が強い場所なんだろうな…と。
私たち庭師のお仕事の一つに
こうした立木の補強があります。
我々人間に出来ることには限界もありますし
樹木自身がその場の環境に
調和しようとする力もありますので
様子を見ながら加減して行うようにしています。
立木の補強は、例えば写真のように
樹木の周りに支えの丸太を据えるなどして
縄でしっかりと括りつけていきます。
この縄は、きれいに面を整えながら巻いています。
皆さんから見える場所ですから
庭師としても格好良く仕上げたいところですしね。
そして庭師が使用する縄にもいろんな種類があり
特性によって各所で使い分けています。
天然の椰子繊維で出来たシュロ縄や
ジュート(黄麻)で作った麻縄は
触るとガサガサしており
この摩擦のおかげで縄同士が滑らないので
しっかり括ったり結んだりしやすい縄です。
その上、朽ちて自然に還る素材なので
木の幹など、成長して少しずつ太くなる箇所に
使うのにも適しています。
一方で、ビニール製の縄は表面がツルツルしており
縄同士の摩擦力に頼って結び合わせるのは難しいですが
自然には朽ちにくいため
立木の補強用丸太などを、できるだけ長い期間
同じ位置で固定したい場合などに便利なのです。
尚、立木の樹皮に縄が触れる箇所には
天然のシュロ繊維などで作られた
少し厚みのある緩衝材を巻き
その上から縄をかけることもあります。
こうしておくと、強風で幹が揺れる時や
幹が成長する過程で
縄が樹皮を傷めるのを軽減してくれるんですよ。
さて、こうして日々使っている縄ですが
本当に丈夫なので
大量に処分する時には少し気を使っています。
例えば、藤棚のお手入れをする際には
毎年すべての縄を架け替えるので
剪定後には古い縄の切れ端がたくさん出るわけです。
この時の古縄は
藤の枯れ枝や葉っぱとは分けて処分しなければなりません。
何故なら、大量の縄の切れ端が混じった状態で
処分場に出してしまうと
枯れ枝などとは違って
縄というのは粉砕機でも切断しにくいらしく
場合により機械の中で引っかかって止まり
大変なことになるんだそうです…。
ですので古縄は別にまとめて焼却処分に出しています。
私たちの場合、出す量も多いですからね。
お庭がきれいになったら
後始末までしっかり…というのが
気持ちもさっぱりしてよろしいかと思っております。
窓越しの庭
ここのところ、天気の良い日が続いており
窓を開けてお過ごしの方も多いかと思います。
庭木越しに、部屋を吹き抜ける風は心地よく
時には花の香りも届き
新芽の色も目に鮮やかで
なんとも佳い季節になりましたね。
さて以前、あるお客様のお宅へ
お庭のお手入れに伺った時のことです。
いつものように、朝のご挨拶をしましたら
その日は年配のご家族のお加減がすぐれず
ずっとお部屋でお休みになられているとのことでした。
お話から察するに、ご病状はだいぶ重いご様子です。
それを聞いて、私たちは
今日はできるだけ静かに剪定をさせていただくこと、
そして、そのお部屋の窓が開いているようだったので
音がうるさいといけないから
窓も閉めておきましょうと申し上げました。
するとお客様は
「いいの、いいの、気にしないで。
今日は、あの窓を開けておきたいんです。
植木屋さんがお庭のお手入れをするのを
聞いていたいって。」
そう仰ったのです。
その一言に、ああ、そうだったのかと、
庭師として、改めて気付かされたのでした。
お庭の音とは、そういうものか、と。
窓越しに、お庭から聞こえてくる様々な「音」。
庭木がさらさらと風にゆれる音や
小鳥たちの楽しげな囀りにまじって
今日は私たち植木職人の鋏の音がパチン…パチン…と
響き続けます。
よく手入れした、職人の鋏の音です。
ふと思いつき
お庭の音を、録音してさしあげられないかと
自分たちのスマートフォンで何度か試してみたのですが
やはり繊細な自然の音ですから
それなりの機器でないと上手くは録れないのでした。
そこからはまた頭を切り替えて…
静かに息を整えながら
ひと枝、ひと枝、
心を込めて、鋏を入れていきました。
いつものお庭の音が、お部屋にいるご家族に届くように。
それから程なくして
その方は亡くなられましたが
あの日の、あの時間が、少しでも
人生の最期の心安らぐ時になっていればと
思わずにはいられません。
今でも、自然の中や、お庭での様々な音を聞く時
この日のことを思い出すのです。
数年かけて、じっくりと。竹林のお手入れの話。
年に何回か、竹林のお手入れに伺うお宅があります。
今の季節の楽しみは、何と言ってもこんなふうに
朝日の中で黄金に輝く筍を見つけられることでしょうか。
落ち葉をかき分けるとひょっこり頭を出していて
思わず筍掘りを始めたくなるのですが
ここはぐっと我慢してお仕事に励まねばなりません…。
竹林のお手入れは
まず茶色くなって立ち枯れしているものや
倒れている竹を切り、林の中の整理から始めます。
平らなところもあれば、斜面地もありますし
あとあと作業がしやすいよう皆の動線を考えながら
足元をどんどん片付けていきます。
庭師の仕事には、先読みや段取りも大事ですね。
竹は育ちが早く、腐りが遅いという性質があるので
以前は伐採したものを土留め材として使ったり
棚を拵えたりしていました。
しかしそれだけでは使いきれず
徐々に増えてくる竹材の置き場の問題がでてきました。
そこで考えついたのが
「竹を破砕できる機械を導入し、竹林を整備し直す」
というアイディアだったのです。
画像の緑色の機械が、私たちの使っている破砕機です。
破砕した竹が、こんもりと薄茶色の山になるほど出ますので
これを竹林に撒いて均し、土に還します。
土に還り易い様に、粉砕するというわけです。
3年程前にこの破砕機を導入したところ
今では竹林がだいぶすっきりしてきました。
こうして竹が整理されてきたところに
林に降りる階段も整備してみましたら
オーナー様も安心して筍掘りに入って楽しめる
素敵なエリアができたのです。
何でも、色々考えてやってみるものですね!
今も継続的に整備中、これからも林全体の様子を見ながら
進めていきたいと思っています。
こうして、私たち庭師が山にひと手間かけることで
自然の良い循環のお手伝いになるなら、嬉しいことですね。
それから粉砕した竹のパウダーは
畑や花壇に撒くこともできるんですよ。
竹パウダーには、腐敗菌や病原菌の殺菌作用があります。
また、雑草を生えにくくしたり、作物の栄養になって
甘みをだしてくれたりするので、
鈴木造園では活躍の場面が他にも色々ありそうです。
こんなふうに日々、みんなでアイディアを出して
工夫しながらチームでお仕事をしています。
椿のある庭
近隣の住宅街を歩くと、あちこちのお宅で
椿が咲いているのを見かけます。
古来、日本人に愛されてきた椿は
11月頃から4月頃まで
様々な色や形の花を咲かせてくれます。
木へんに春で「椿」という漢字なのに
晩秋、冬、春…と、ずいぶん長い期間
椿の花が見られるのは不思議な気もしますが
園芸品種だけでも数百あって
秋から春にかけ、次々といろんな花が楽しめるのです。
品種改良でこんなにたくさんの種類が作られたのも
日本人の椿への愛の深さ故でしょうか。
そして、椿が大好きなのは
私たち人間だけではないようで…
花弁に、時折ポツポツ、ツブツブの柄が
現れていることがあるのですが
(画像の赤丸で示した部分です)
これはメジロなどの小鳥たちが、花の蜜を吸いに来て
足で花に掴まり、爪でつついた跡なのです。
お庭の椿のあちこちに
この跡がついているのをみかけると
小鳥たちがお腹いっぱい蜜を吸っていった様子を
思い浮かべるお庭屋さんです。
さて、先日のブログに書いた蕗と同じく
椿も日本原産の植物です。
茎や葉を燃やして作られる「椿灰」は
古くから高貴な色とされる
紫色を染めるのに欠かせない媒染剤で
「紫根染め」という草木染めに使われていました。
現存する日本最古の歌集、万葉集にも
「紫は 灰さすものそ 海石榴市の
八十の衢に逢へる児や誰」
(むらさきは はひさすものそ つばいちの
やそのちまたに あへるこやたれ)
と詠まれており
椿(海石榴)、灰、紫…という言葉から
おそらく奈良時代には
日本人がよく利用していた植物だったことが伺えます。
そして室町後期から江戸時代初期にかけて成立する
「侘び茶」文化、茶の湯の世界でも
椿は格の高い花として大切にされ
11月の「炉開き」では茶席に白玉椿などを生けます。
11月初旬というと
あまりお花の多い時期ではありませんから
この頃に美しい咲き姿を見せてくれる椿は
さぞありがたく貴重なものだったでしょうね。
時はくだり、現代の日本では
白玉椿や西王母など、茶席に飾るような和花は
一般的な切り花中心のお花屋さんでは
取り扱いが少なくなりました。
(都内に行けば、和花専門のお花屋さんもありますが)
その為か、茶道をなさっている方から
ご自宅のお庭にこれらの椿を植えて
毎年11月初旬になると
最初の花が咲くのを待ち侘び
お家での炉開きの席に飾るのを
とても楽しみにしていると伺ったことがあります。
こんなふうに
お花屋さんで買えない花の木を植え、自分で育てて
我が家の季節の行事を迎えられるというのも
お庭のある暮らしの魅力のひとつでしょうか。
三月の雪と、落葉樹の生態のお話
三寒四温で、少しずつ春が近づいてきている中
先日は神奈川でも久しぶりの三月の雪となりました。
こんな時、私たちお庭屋さんは
雪や雨が上がった後のスケジュールを考えつつ
手元で準備できる作業を粛々と進めます。
天候をじっと待つのも、庭師のお仕事ですから。
さて、「じっと待つ」といえば…
去年の秋冬も、昨今の気候変動の影響を受け
紅葉する時期が遅かったり
落葉樹の葉っぱがなかなか落ちきらなかったりと
身近な自然の中にも
昔とは違う、季節のずれがあることに
お気づきの方が多いかと思います。
こんな時も、我々お庭屋さんは少しばかり
「待つ」ことを考えるのです。
なぜなら、落葉樹は葉っぱが落ちきらないうちに
枝の剪定をしてしまうと
切ったところから樹液が出てきてしまうから。
樹にとっては、まだ切ってほしくない時期だということです。
お客様とも相談しながらになりますが
可能であれば、木が葉っぱを全部落とすまで待ってあげて
それから庭木の剪定に入れるよう調整することもあります。
(状況によっては年明け以降など)
そもそも、樹木のメカニズムとしては
まず葉っぱがなければ
根っこからの水は上がってこないんですよね。
(この「水」が「樹液」)
というのは
葉っぱの裏には「気孔」という穴があり
ここから水分を蒸散させることによって
樹木は根っこからの水を呼び、吸い上げる力にして
水分や栄養分を体中に巡らせているからです。
さらに落葉樹は、常緑樹よりも
進化した複雑な仕組みをもっています。
秋冬になって太陽の光が少なくなると
葉っぱの付け根に「離層(りそう)」という
切り取り線みたいなものを樹木自ら作って
葉っぱを落とす準備を始めます。
そしていよいよ寒くなってきて光合成をやめると
この離層から葉っぱを落とすわけですが
上記の通り、葉っぱがない間は
さほど根っこから水を上げていない状態です。
よって、お庭屋さんとしては
このタイミングで剪定してあげられれば
無駄に樹液を流させずに済む、という訳なのです。
こうして冬の間は、樹の中の水分量も少なくなり
低温や凍結に耐えやすい体になるのもすごいところ。
冬季に水道管が凍結して破裂しないよう
水抜きをすることがありますが
樹木自ら水抜きをしているようなものでしょうか。
本当に、自然はよくできていますよね。
このメカニズムから考えると
春先に、新芽や葉っぱをどんどん出して
幹の中の水分が増えてきた後に
極端に寒くなったり、雪が降ったりするのは
水分膨張で樹の中の細胞膜が破れてしまうため
樹木にとってはちょっと辛い状況といえます。
私たちも、藁ボッチやコモ巻きをして
樹々を寒さから守るお手伝いをするものの
地球全体の気候変動やお天道様のご機嫌までは
どうにも何ともなりません…。
ここは素晴らしい仕組みを持った樹々の力を信じ
また、じっと待つのです。
マンションのお庭のちいさな春、ふきのとう。
マンションのお庭には
大きくて立派な目立つ木々も沢山ありますが
足元を見れば、可愛らしい花たちが
春の訪いを告げてくれています。
水仙のお花のように
道ゆく私たちに佳い香りを届けて
その存在に気づかせてくれるものもありますし、
薄緑色で目立たないけれど、春先の嬉しい味覚
ふきのとう等が見つかることもあるんですよ。
よかったらお散歩ついでに
身近で小さな春を探してみてくださいね。
蕗(ふき)は、日本原産の植物で
縄文時代から食されてきました。
たくあんで馴染み深い大根でさえ
日本に渡来したのは弥生時代なので、
日本の野菜界?の中でも、蕗は大先輩といえます。
蕗の薹(ふきのとう)は、蕗の花のつぼみの部分で
今の時期、お蕎麦屋さんなどに行くと
一品料理で「ふきのとうの天ぷら」をいただけるのも
季節の楽しみの一つです。
揚げたてに、ちょいと岩塩をつけて…
あのほろ苦さと、鼻に抜けていく蕗の香り、たまりません。
春先は、ふきのとうやタラの芽など
ほろ苦い野菜や山菜が出まわります。
実は、春先に苦いものを食すのは
漢方的にみて、冬から春への季節の変わり目の身体を
しっかりと目覚めさせる効用があるとされ
とても理にかなったことなのです。
人間や動物が、その時期に必要とする栄養素を
植物たちが蓄えていてくれるという
自然の循環の不思議を思いながら
木々の剪定をしつつ、足元の蕗たちを愛でたのでした。
この日は、春雨に濡れた落ち葉たちが
蕗たちの周りの土の表面をふんわりと覆って
土が渇きすぎてしまわないように
お布団のように優しく守ってくれていました。
そう、自然の大きな循環の中では
落ち葉たちも、大切な役割を果たしています。
寒くとも、心あたたか。保育園のたくあんの話
数年前から、ご縁があって
横浜市の ”鳩の森愛の詩保育園” さんにて
こどもたちと一緒にたくあん作りをしています。
こちらの保育園では
「食べることは生きること」というお考えから
「食」を保育の柱のひとつにされています。
園庭に畑を作り
こどもたちが野菜の種を蒔いて育て
そこで採れた大根で、たくあんを漬けて食べる…
いのちの芽吹きからはじまり
収穫したものを自分たちで食すところまでを
こどもたち自身が実際に体験する、
そんな畑のお手伝いをしているのです。
1月の末、こどもたちのたくあんが
とっても美味しく出来上がっていました。
たくあんに使う大根は「干理想」という
たくあん専用の品種を育てています。
スーパーでよく見る青首大根とは違って
たくあんを作るのに丁度いい、細身の大根なんですよ。
これを9月に種まきして、12月には収穫し、
それから1〜2週間干して
大根の水分が程よく抜けてしんなりしてきたら、
もち米の糠、昆布、塩などと一緒に漬け込んで
1ヶ月待って…やっと、やっと出来上がりです。
先日、保育園のこどもたちが
みんなで書いたお手紙と一緒に
出来上がったたくあんを持ってきてくれました。
嬉しそうに、誇らしそうに、ちょっと照れくさそうに。
中には、たくあん作りの途中で思うようにできなくて
投げ出しそうになっていた子もいて…
そんな、それぞれの過程をずっと見てきて、
今、その小さな手で渡してくれたたくあんとお手紙を見て、
ああ、ここまで頑張れてよかったよねって
はたけのおじさんたちは思わず目頭が熱くなったのでした。
持ち帰って頂いたたくあんの味は、忘れられません。
本当に、美味しかった。
みんな、強く、あたたかい人になりますように。
ずっと、応援しているからね。
- TEL:045-981-3667
- 【受付時間】9:00~18:00(平日)
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