お知らせ
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職人の道具 梯子と脚立のお話
週初めは、関東も久しぶりの大雪でしたね。
心配していたお庭の木が倒れてしまったところもあり
大自然の力には敵わないとはいえ、木の命を思うと
こういう時は少し切ない私達です。
お庭の中で、大きな木が一本なくなると
全体のバランスも変わってしまいます。
周りの植物たちとの兼ね合いも含め
今後のお庭の姿をどうするか、いろいろ頭を巡らせます。
さて先日、いつも私たちがお仕事で使っている
木製の梯子がいたんできたので
みんなで新しく作り直しました。
トラックの荷台に登る時や
背の高い植木のお手入れをする時などに
毎日使う道具の一つです。
ホームセンターまで車を走らせ
ツーバイフォー材を買ってきたら、
元々使っていた梯子のサイズにならい
鉛筆で直接、材料に目安の寸法をするすると書き込んで
金具をはめ込み、一段ずつ組み立てていきます。
先代の社長が
「ツーバイフォー材はとても軽いから
これで梯子を作れば
職人みんなが運びやすくて良いだろう」と考えつき
今では大体1年ごとに新しいものに作り替えています。
国産の高級な木材は、確かに素敵ですが
しっかりしているぶん重い為
剪定の作業中に何度も動かすのは体に負担がかかるのです。
ツーバイ材の梯子は
白木のまま屋外で使うので、長くは保ちませんが
軽くて扱いやすいのが何よりありがたいですね。
それに、金属製の梯子に比べると
あたりが柔らかい木の梯子は、
植物や石に触れた時に、相手を傷めにくいのも良い所です。
一方、もっと高さのある、竹と丸太の梯子(脚立)は
お正月の門松を製作してくださる竹屋さんの手作りです。
竹をバーナーで炙り、ある温度に達したところで
ぐいっと一瞬で曲げて形を作り
脚立のパーツを仕上げていく様は
竹という素材の性質を知り尽くした、まさに職人の技。
こちらは流石に、プロにお願いして作って頂いています。
ちなみに、丸太で出来た梯子の段は
地下足袋で登ると
曲面が足裏を刺激してくれてなかなか心地良く、
剪定中に健康増進しているような気分になりますよ。
これらの梯子や脚立は
体重を預けて仕事をする道具なので
いたんでいないか、登る時の確認も大事です。
気づかずに段を踏み抜いてしまうと危ないですからね。
そしてあまりにも風の強い日などは
脚立の上で煽られますし、段上で踏ん張っても危険な為
高所作業は中止し、脚立を使わない作業に移行します。
こうして、日々使うものは手入れしますし、
また新しい道具を作ったり、考えたり、
違う方法を試すこともあります。
現場や状況に合わせて
上手いやり方を考えて工夫できるのは
職人仕事の面白いところだと思っています。
小さな命をつなぐ 撫子の挿し芽
ある広いお庭の剪定に伺った際
長く伸びた撫子(なでしこ)の枝を一部切らせていただきました。
はっと目を惹く、鮮やかな花色。
持ち帰った枝を見ると、まだ葉にハリがあって
育つ力を秘めていそうな部分があったので
挿し芽をしてみることに。
まず、ある程度の長さにカットして揃えてから
茎の下の方の葉を取り除き、挿し穂を作ります。
次に、育苗箱というケースに土を入れ
整えておいた撫子の穂を次々挿しこめば
挿し芽の出来上がりです。
このままでは寒すぎるので、育苗箱を温室に入れて
根っこが出てくるか、しばらく様子をみます。
ここは撫子のチカラ次第。がんばれナデシコ。
後日めでたく、土の中で根を伸ばし始めてくれたら
一苗ずつそっとビニールポットに植え替えます。
(お花屋さんで花苗を買う時の黒いビニール)
ここでゆったりしたポットに植え替えてあげると
撫子が栄養と水をたっぷり吸収できるようになるんです。
育苗箱は、若干混み合っていますのでね。
新しいポットの中で、だんだんに根が充実し
一人立ちできそうな状態になったら
実際のお庭に植え替えて見守ります。
また、元気に育ってくれるでしょうか。
お庭の剪定は、生きている植物に鋏を入れます。
私たちが切った枝、こぼれた種にも宿る命があります。
一つずつでも、繋いでいけたら、嬉しいのです。
獅子柚子と蜜柑
「寒い日は、こたつでみかん」
日本の冬の定番スタイルではないでしょうか。
今日は、街で見かけた柑橘類のお話です。
今月初めに、現場近くを歩いていたところ
あるお宅の生け垣の上に
立派な獅子柚子(ししゆず)がずらりと並んでいてびっくり!
獅子柚子は、鬼柚子とも呼ばれ
果皮がデコボコしていて
人の頭ほどのとても大きな実がなります。
以前、獅子柚子を食べてみたことがありますが
果実はぱっさりとして汁気は少なく
どちらかといえば果皮をマーマレードにした方が
美味しく頂ける果物のようですね。
ちなみに、柚子という名前なのですが
実はブンタンの仲間で、香りはさほど強くありません。
邪気を払う縁起物として
飾り付けに使われることも多いようです。
それにしても、これは飾り付けなのか魔除けなのか
あるいは干していたのか…真相は分かりませんが
後ろの木の枝にも上手に飾っていらして
道ゆく私たちの目を大いに楽しませてくれました。
それからまた別の日、湯河原に出かけた時のことです。
横断歩道を渡った先に、蜜柑の木が見えてきました。
近づいていくと、木の根元に
地元名産の「湯河原みかん」のダンボールを模した
囲いがあって、思わず写真を撮ってしまいました。
(もちろんダンボールではありません!)
ちょうど、丸々とした蜜柑が沢山なっている折です。
名産品の宣伝として素晴らしいデザインだと思いました。
分かりやすい。馴染み深い。そして何より目を惹きます。
蜜柑のビタミンは、体の中で長く効くと言われ
冬のうちに食べておけば
春ごろまで抗酸化作用が続くとも言われています。
季節の果物をありがたく頂いて
風邪も邪気も吹き飛ばしていきたいものですね。
丸くて美味しい蕪の不思議
寒い時期に美味しくなるお野菜、嬉しいものですよね。
当社の畑(土壌試験場)では
秋口に植えた蕪たちが丸々と実っており
土から引っこ抜く度、ほおっと感動してしまいます。
聖護院かぶらと一般的なサイズの蕪、
両方育てているのですが、どちらも見事な育ちぶり。
塩昆布や柚子のしぼり汁で、漬物にしてもよし。
ベーコンと一緒に煮て、温かいスープにしてもよし。
あるいはシンプルに、オリーブオイルと岩塩をふり
栄養たっぷりの葉や茎と一緒に
フライパンでこんがり焼くだけでも最高に美味しいのです。
この畑、元々は
お客様のお住まいの建て替えの際などに
植木を一時的にお預かりしていたスペースでした。
最近はお預かりの機会がそれほどないので
使っていないところを土壌試験場として活用し
野菜や果物、お花などを育てています。
自社で土づくりから始めて10年程。
今では、ご自宅や保育園などで
家庭菜園を始めたいという方の
いろいろなお手伝いができるようになりました。
自分で育てて収穫し、食べてみるって
本当に楽しい!
そして美味しい!
試しに畑や家庭菜園をやってみたい方、
どうぞ鈴木造園に声をかけてくださいね。
さて、今の時期に収穫する蕪や白菜、大根などは
まだ暑い8月に土づくりをして
畝を作っておくことからスタートします。
そして9月のお彼岸ごろに種を撒くと、すくすく育って
ちょうど今頃食べられるようになるのです。
蕪はとてもデリケートな所のあるお野菜で、
大根、ブロッコリー、小松菜などと同じく
アブラナ科の野菜なのですが、
同じアブラナ科の野菜の隣に植えてしまうと
なぜか元気がなくなり、
うまく育たなくなってしまいます…。
他のアブラナ科の野菜たちは
どれを隣に植えても全然問題ないのに
不思議な話です。
そのため、種撒きをする際に、蕪の隣には
セリ科のニンジンや、シソ科のホトケノザ等を
配置してあげています。
みんな元気に育ってね!と祈りながら…。
大きく育った蕪を土から引き抜くと、
下のほうに細長い根っこが付いてきます。
実は、蕪も大根も
土から栄養や水分を吸収しているのは
この細い部分だけ。
蕪の大きさと根っこの細さを見比べると
どうしてこんなに育つのか、
普段は見えていない根っこの力に、驚かされます。
こうしていつも、身近な野菜や植物から
小さな命のメッセージを沢山もらっているのです。
仕事始めは、門松のお引き取りに
年の初めに大変な災害が起き、改めて今
我々が生かされていることの意味や
できることは何かを、自らに問い直しつつ
今日も庭木たちと向き合っております。
お庭を通して、誰かの心がほっとできるような
あたたかい時間を作りたい。
今年も、お庭屋さんとして
大切にすべきことを忘れず、懸命に勤めて参ります。
本年の仕事始めは
各所へ門松のお引き取りに伺いました。
お正月の門松やしめ飾りを取り払うことを
「松納め」といい
関東では1月7日、関西では15日頃に行います。
江戸時代の初期までは
全国的に15日が松納め、20日が鏡開きでしたが
三代将軍 家光の月命日が20日であったため
これに年始の行事が重ならないよう
関東では、昔からの松納めや鏡開きの日程を
少し前倒しにしたのだと言われています。
一方、関西は遠くて、幕府からのこうした御触れが
行き届かなかったのだとか。
昔は情報伝達もゆっくりしていたんですね。
そして時代は進み、昭和30年代くらいまでは
日本でも家々の玄関先の道路は舗装されておらず
玄関脇に赤土や川砂を盛ったところ、
あるいはそのままの地面に、
松や竹を突き立てて門松を飾っていたものもあったそうです。
(アスファルト舗装がないから出来たことですね!)
しかし、都市化が進むにつれ
門松を地面にさすことで
地中の水道管を傷めるなどの問題が起き
現在のような「置く」タイプの門松が
殆どになってきたのです。
機会があれば、おじいちゃん、おばあちゃんに
子供の頃のお正月はどんな風に過ごしていたか
聞いてみると面白いかもしれませんね。
門松は、歳神様にいらしていただく目印
あるいは依り代とも言われる縁起物です。
松の内が過ぎて役目を終えた門松は
松、竹、しめ縄とそれぞれに分けます。
そして、松やしめ縄は
お焚き上げ、どんど焼きにして天に還し
竹は様々な細工物に使わせて頂いています。
神様が宿った縁起物である竹の命を
最後まで大切にしたい、そんな植木屋さんの思いです。
謹んで地震災害のお見舞いを申し上げます。
このたびの令和6年能登半島地震により
犠牲になられた方々に
謹んでお悔やみを申し上げますとともに
被災された皆さま、そのご家族の方々に
心よりお見舞いを申しあげます。
被災地の一日も早い復旧をお祈りいたします。
株式会社鈴木造園土木
冬の風物詩、藁ボッチ
早いもので、今年も残すところあと僅か。
年内最後のお仕事は、藁ボッチの設営に伺いました。
藁ボッチとは、植木を寒さや雪から守るために
稲わらやコモで、植栽を覆ってあげるものです。
温暖化の影響もあって、昔ほど寒くなくなりましたし
関東付近ではもうあまり雪も降らないのですが
今は寒さ避けというよりも、季節のしつらえとして
私たちの目を楽しませてくれているように思います。
お庭の装いに藁ボッチを見かけるようになると
ああ、冬が来たんだなあと感じますよね。
藁ボッチの作庭にあたっては
まずは編みやすくするために、藁をある程度の束にまとめて
木槌で叩き、芯を柔らかくすることから始めます。
程よい柔らかさになったら、ひとつひとつ手で編んで
藁の帽子を作ります。藁ボッチの「ボッチ」は
「帽子」「法師」等からきているとか。
編んでいると、ふうわり藁の良い香りがします。
こうして藁ボッチの準備をしてからお庭に伺い
植栽の幹の形に合わせて、服を着せるようにコモを巻きます。
そして職人全員で作った藁ボッチを先端に被せて
冬支度と装飾の完成です。
見映えの点から、縄の間隔も非常に重要で
職人同士のコミュニケーションも欠かせません。
写真のように、植栽の足元は
裾を広げて門松のように袴をつけるのが
弊社社長のこだわりです。
ところで、人間にとっての気温0度は
植物にとっての気温5度だ、という話をご存知でしょうか。
外の気温が5度を下回るようになったら
鉢植えの観葉植物たちは風邪をひいてしまいますので
どうぞお家の中に入れてあげてくださいね。
無事に冬を過ごせますように…。
それでは、今年も一年お世話になりまして
本当にありがとうございました。
みなさまも、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
恵みの雨?
皆さんこんにちは。昨日、本日と晴れ間と思っていると、あっという間に土砂降りの雨。という忙しい天気となりましたね。台風の勢力が及ぶ範囲の広さに驚きました。ちょうどコンクリートを使用して花壇レンガの補修作業を行っている中、コンクリートを練り始めると土砂降り、雨が上がって作業を始めるとカンカン照りの猛暑、順調に作業が進むと思えばまた土砂降り。これの繰り返しでした。作業は大忙しでした。が、先日からここ青葉区田奈町周辺は1か月以上?も全く雨が降らない天候が続いていました。玄関前の植木鉢さん、庭の低木や草花さん、土壌試験場の植物さん達は、水切れを起こし瀕死の状況にまで追い詰められていました。ホースで水まきをする日々が続きました。気温が36度にもなると土中の水分蒸散が激しく、水をやってもすぐに乾いてしまう状況でした。そういう面ではホッと一安心しております。人や動物たちは水のある場所に移動して補水する事が可能ですが、植物さん達は歩けないので水を飲みに行くことが難しいのです。雨が降らないなー?と感じたら、迷わずに水やりをして下さいね。1日に1度しか実施しないのであれば、ぜひ朝にお願い致します。植物達は、午前中の方が水を吸い上げる作用が大きい習性をもっている為お願いしますね。この後台風の本体が来ない事を祈っております。
新しい発想を求めている人募集します。
こんにちは、いつになく真剣なタイトルを書かせて頂きました。最近は色々な方とお話をする機会が多く私も人と話をする事が好きなのでついつい話し込んでしまいます。そんな会話の中で「変わっている植木屋さんですね」や「本業は何屋さんなの?」といったご意見をお伺いする事が多くなりました。「いやいや普通の植木屋さんですよ!」とお答えしております。私は、父(親方)に見習い基本的な土木工事の知識、技術、庭園作りの技術、石組、庭園植物たちの維持管理の仕方を手伝いながら25年以上の楽しい時間を過ごさせてもらいました。個人的には昔の「お百姓さん」の持っている知識や技術が大好きです。土壌の知識、気象の知識、植物たちの育み方に至るまで自然の総合的な知識、それらを生かした技術をお客様の庭園に活かす事が出来れば、喜んで頂けるのではないかと思い日々色々なものを調べ、実験し社内で情報を共有する様に心掛けています。 古い時代からの知識や技術から最新の知識や技術まで、とにかく周りに楽しいエキサイティングな事柄が沢山あると思い感じています。多くの人とお話をさせて頂くと色々な発想を勉強させてもらえます。物事の捉え方や、考え方も本当に多種多様ですよね。日々勉強させて頂きながら本当にありがたく感謝しています。(とても幸せです。) 以前より当社のホームページを見て下さっている方から「一緒に働いてみたい」というお問合せを多数頂いて参りました。当時は社内の事情がありお迎えする事が出来ませんでした。なんと!今回、当社で一緒に働いて頂ける仲間を募集させて頂く準備が出来ました。お客様のお庭に「楽しい、素敵なもの」を創造し一緒にお届け出来る仲間を募集しますので、興味のある方は当サイトのお問合せメールよりお問合せ下さい。お待ちしております。今回の写真は本日気温37度の中で収穫した当社試験場の夏野菜さんです。綺麗ですよね(色合いが)。この写真の様に色々な力を持つ人が、その力を合わせてお客様のお庭に向かうって素敵じゃない?
この子はバッタの子?
関東地方もすっかり梅雨入りした様で、お庭屋さんとしても現場作業がしにくい時期となりました。そんな梅雨の貴重な晴れ間にアジサイの写真を撮ってみました。なんと!偶然にも飛び入りのゲストが写っておりましたのでご紹介しますね。写真中央の葉の上に擬態化した子が乗っかっているのが見えますでしょうか。バッタによく似ていますよね。この子の正体は実はキリギリスなのです。バッタの仲間に含まれますが、幾つか特徴があります。一目で分かる見分け方は、「触覚の長さがが体調よりも長い」というのがキリギリスの代表的な特徴です。細かい所を更に追記すると、耳の位置です。バッタは胸(羽の付け根部)に耳を持ちますが、キリギリスは前足の頸部に耳となる器官をもっているそうです。バッタよりも「音」「声」の源の位置を特定する能力が高いと言われています。昆虫たちは本当に不思議な生き物ですね、大切にしたいですね。ちなみに、本物のキリギリスは「バイオリン」は持参しておりません。
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